あじさい
あじさいを食べてしまった大猿が空に吐き出す息が虹です
傘を差す君の横顔いつもより少し凛々しくつい目をそらす
心まで変わるのかしらあじさいの青がだんだん濃くなっていく
雨音に降り込められた部屋の中あじさいだけが活き活きとする
君の指す先に小さなかたつむり雨が似合うとうらやんで見る
七夕
おりひめとひこぼしだって一年に一度は会える君に会いたい
君からの最後のメール保護かけて残してあるんだ古い携帯
手をつなぎ教えてくれたあの星を今は一人で見上げているよ
もし星が願いを叶えてくれるなら君を忘れてしまいたいのに
願いごとついに書けずに名前だけ書いた短冊ゆらゆら揺れる
退廃
熱帯の夜みたいだね果物の熟した匂いめまいがしそう
どうしてもうんと言わないイライラとマニキュアの剥げた爪を見ている
真夜中の組み替えた足ほの白く刺されたあとの朱い斑点
午前九時汗ばむ肌を持て余しひたひた思う夕べの諍い
熱くなくぬるくもなくてどことなく頼りない風肺を満たして
冬の夜に
マッチ売りの少女が幸せだったのはリンゴ売りではなかったことね
型にはまるのは好きではないけれど今年もこたつの上にみかん
たまねぎもにんじんもじゃがいもももう入れたのにああ足りない何か
冬空の色は心の色だから寂しい時は見てはダメだよ
ぼんやりとイルミネーション見つめてはため息をつく君には星を




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