閉ざされた国





冬枯れの神経質な枝々の痛み伝わる指がかじかむ
正論は寒さに負けてただ人を追い詰めるだけ傷つけるだけ
雪の降る音を掻き消すイヤホンの大音量のマリリン・マンソン
冬に生まれ冬に育った僕たちは空に色があるのを知らない
南天をたわめる雪を傘で打つ刹那憎しみ抱く錯覚
凍りつく夜には星がビカビカと猫の目よりも強く輝く
「春なんてこなければいい」姫君のその一言で閉ざされた国
モノクロの街に咲くモノクロの花よ人の心は何色なのか
荒波が冷たく暗い泣き声をあげては雪を掻き消していく
夢求め出ていく君を止めはしないけれどここにも夢はあるんだ




戻る